小学生サッカー育成ガチ編【第5話】:1対1勝負で親子の心をつなぐ
こんにちは!
前回は、チーム移籍にまつわる我が家の体験談を3話にわたってお届けしました(※まだの方はこちらからどうぞ)。
移籍後、以前のように笑顔でサッカーに打ち込む姿が戻ってきた長男。
「もっと自由にプレーしたい」という本人の想いを尊重し、選んだのは…
中心選手として認めてもらえる可能性のあるチーム。
結果的にその選択は大正解で、
入団直後から、のびのびとプレーする姿が増え、少しずつ信頼を勝ち取っていくようになりました。
そしてそのタイミングで、私たち親子が取り組み始めたのが「1対1の強化」。
この“親子1対1”が、技術面だけでなく、私たちにとって大切な時間となっていくのです。
それではそうぞ!

1対1練習は“本気で遊ぶ”からこそ意味がある|真剣勝負で心をつなぐ
親子で1対1のサッカー練習をしようと思っても、問題になってくるのが「身長差」や「フィジカル(身体の強さ)」の差です。
当然ながら、小学生の低学年…少なくとも4年生くらいまでの子と
大人が普通に勝負をすれば、大人側の “体格” や “当たりの強さ” で簡単に勝ててしまいます。
そうなると、もはや練習にはなりません。
「いやいや、親だって本気でやるのが大事でしょ?」という意見もあると思います。
もちろん、“手を抜かない真剣勝負”はとても大切です。
でも、だからといって
子どもが立ち上がれないほど打ちのめしてしまったら意味がない。

しかも、調子に乗ってやりすぎると、子どもにとって大事な“自信”を奪ってしまう可能性すらあります。
下手をすれば、ケガにつながるリスクだってある。
バランスがむずかしいですよね…
大人しい子が“仕掛けられる選手”になるには?|ギリギリ勝てる難易度調整
私が子どもと1対1の勝負をするとき、いつも意識していたのは…
「子供の本気を引き出すこと」です。

ただ大人の力で押し切って勝つのではなく、あくまでも“子どもが全力で戦いたくなる環境”をつくること。
これが一番の目的でした。
たとえば、1対1の勝負では、攻守を交代しながら複数回プレーし、どちらが多く“勝ち星”を取ったかで勝敗を決める形式にしていましたが、
その中で意識していたのが、「子どもの性格」と「現状の実力」に合わせた“難易度の調整”です。
低学年の頃は「ついていくだけ」からスタート
まだ技術も自信も育ちきっていない時期は、まず“剥がされない程度に”ついていくだけ。
そして、子どもが重心の逆を突いてきたときに、スッと抜かれてあげる
最初はそんな小さな成功体験を積ませることから始めました。
少しずつ上達してきたタイミングで、今度は
・軽く足を出す
・体を軽くぶつける
といった DFの圧を段階的に強めていくようにしました。
性格も“勝負の演出”に影響する
また、子どもが守備に入っているときは、抜かれた後の顔色や態度をしっかり観察。
特に大人しめな性格の子どもは、最初からボコボコに負けてしまうと「もう無理だ」と心が折れてしまいやすいです。
でも、負けることも成長には必要な経験。
だからこそ意識していたのは
「なにくそ!と立ち向かいたくなるような、“あと一歩”の僅差を演出すること」

そして最後は勝たせてあげる。
この“ラストの勝利”があることで、
たとえ大人しい性格の子でも「できた!」という感覚が心に残り、
成功体験の効果がグッと高まったように感じました。
それが少しずつ自信につながっていくんですよね。
“お父さんレベル”が子供のやる気スイッチになる!|目標としての存在になる方法
自信が積み重なっていくと、技術的な上達もついてきますよね。
そんなある日、息子が1対1で勝つことが増えてきて、ふと気づくわけです。
「あれ?パパ弱くない?」と(笑)

おそらくそれだけ、私の“負け演技”がリアルすぎたのでしょう(笑)
…もしかすると、「最後に勝たせてあげる」この手法の唯一の落とし穴かもしれませんね。
でもそれは、まぎれもない成長の証。
ちょうどチームでも少しずつ活躍し始め、試合で点も取れるようになってきた頃でした。
なので私は、“自信がついてきたサイン”として前向きに受け止めることにしたんです。
そして…
ついに「パパ本気モード」を”一度だけ解禁”することに。

ただ、以前のように「負けて落ち込む」ようなことはありませんでした。
むしろ真剣勝負の末にやられて、「パパつえー」と素直に認めてくれたんです。
その流れで、こう切り出しました。
ボクサカ劇場、ここに開幕。

今までのパパは、まだ30%の力だったのだよ、長男くん…フッフッフ…
果たして100%のパパに勝てるようになるのはいつかな?
この一言が、見事に刺さりました。
それ以降、長男は 1対1 勝負のたびにこう聞いてくるようになったんです。

今のパパ、何パーセントだった!?
長男が上達するたびに、私はまるで某DBのフ◯ーザ様のごとく、
「お待ちかね…」と言わんばかりに、パワーの“本気度”を段階的に引き上げていきました。
この頃にはもう、1対1は“練習”というより、
親子の大切なコミュニケーションのひとつになっていました。

私自身も、息子の目標であり続けるために、少しでも動ける体でいようと健康に気を遣うようになって
まさに一石二鳥です。
そしてこの時、私の中にも新たな夢ができました。
いつか、100%の本気で、ガチンコ勝負をすること。
そして、その勝負で、息子に負けたい。

そんな未来を思い描きながら、ガチ勢化する長男を見守っていました。
まとめ:1対1は、ただの練習じゃない
親子で取り組む1対1のサッカー練習。
これは単なる技術向上の時間ではありませんでした。
子どもの“今の実力”と“性格”に合わせて、絶妙な難易度で勝負を演出する。
ギリギリで勝ったり負けたりを繰り返す中で、悔しさも、喜びも、すべてが「心を動かす経験」になっていく。
そして、最後に“勝たせてあげる”。
そんな積み重ねが、気づけば子どもの自信になり、
「パパ、いま何パーセント?」なんて問いかけが親子練習での会話に加わるようになっていました。
いつか本気の100%で勝負して…そして、その勝負で負けたい。
それが、私の夢になりました。
1対1は、親が子どもに勝つためのものじゃない。
“本気のやり取り”を通じて、親子の心を育てていく…
そんな、かけがえのないコミュニケーションツールなのだと思います。

次回へ続く
