小学生サッカー育成ガチ編【第13話】:元コーチの“不祥事”が奪ったもの、そして教えてくれたこと。
こんにちは!
子供のサッカーチーム、そしてコーチとの関係。
それは、お子さんのサッカー人生に影響を与える、非常に重要で、そして本当に難しい問題ですよね。
「このチームで、このコーチの下で、うちの子は本当に成長できるのだろうか…」
そんな風に、心を悩ませた経験のある親御さんも、決して少なくはないのではないでしょうか。
今回は、我が家の長男が経験したチーム移籍と、そのきっかけとなった元コーチの、その後の「不祥事」という出来事。そして、その出来事が私たち親子に何をもたらし、何を教えてくれたのかについて、正直にお話しさせていただきたいと思います。
これは、誰かを責めるための話ではありません。
この一つの出来事を通じて、子供のサッカーという素晴らしい世界に、私たち大人はどう関わっていくべきなのか。その本質を、皆さんと一緒に考えるきっかけになればと、願っています。
それではどうぞ!

新しい環境で輝きを取り戻した長男~信頼が育む「中心選手」の自覚~
以前の記事でも少しお話ししましたが、長男は小学校4年生の時にチームを移籍しました。
移籍先のチームは、県内でも実績のある、レベルの高い環境でした。
そこで彼は、素晴らしいコーチと仲間たちに出会いました。
長男は、どちらかというとおとなしい性格なのですが、ひとたびピッチに立てば、プレーは大胆不敵。
そして、時折見せるはにかんだような笑顔。オモロイ性格(笑)

新しいコーチは、そんな彼のキャラクターを受け入れくださり、そしてプレーを信頼してくれました。

長男のあのドリブルは武器だぞ。自信を持って仕掛けろ!
指導者からの「信頼」という名の温かい追い風を受け、長男はみるみるうちに輝きを取り戻していきました。
名だたる強豪チームとの対戦経験も、彼を大きく成長させてくれました。
そしていつしか、彼はチームのエースの一角として期待されるようになり、彼自身もその自覚を持って、プレーや言動に責任感が芽生え始めていたんです。
その姿は、親として本当に誇らしく、移籍という決断は間違っていなかったと、胸をなでおろしていました。

移籍の本当の理由と、心の奥に秘めた「リベンジ」という名のモチベーション
では、なぜ私たちは、彼が慣れ親しんだチームを離れるという、大きな決断をしたのか。
理由は、非常にシンプルでした。
それは、
前所属チームの当時のコーチに「自分の(得意な)プレーをさせてもらえなくなった」からなんです。
(※もしよろしければ、その時の詳しい経緯はこちらの記事で触れていますので、ご覧ください。)
要するに、子どもの成長にとって最も重要な「ゴールデンエイジ」に、行き過ぎたプレーの制限が課せられていました。
だからこそ、新しいチームで輝きを取り戻した長男の心の中には、一つの大きなモチベーションが燃えていました。
それは、
「前所属チームと対戦して勝ちたい。そして、自分のプレーを封じ込めたあのコーチを、自分の力で見返したい」
という、ある種の「リベンジ」の炎でした。
(※この目標が、彼の成長の一つの起爆剤になったお話はこちらです)

突然の知らせ…元コーチの“不祥事”と、燃え尽きてしまった目標の炎
長男が新しいチームで充実した日々を送っていた、移籍から約1年後のことでした。
風の噂で、あの前所属チームの元コーチに関する、信じられないような知らせが私たちの耳に届いたのです。
詳細は伏せますが、それは、子供たちのサッカーに関わる大人として、決して許されることではない、
いわゆる「不祥事」でした。

そして、その元コーチは前所属チームから去ったというのです。
さんざんチーム内で自分のやりたいようにやり、子供たちの個性を押し殺し、
長男の笑顔がなくなるきっかけを作っておいて、最後はこれか…?

親としての私の胸にこみ上げてきたのは、怒りを通り越した、一種の虚しさでした。
そして、その事実を知らされた時の、長男の反応。
彼は、怒るでもなく、喜ぶでもなく、ただポツリと、こう言ったんです。

…ふ~ん…もうどうでもいいや…
その瞬間、親子の中にあった、あの熱く燃え上がっていた「リベンジ」という名のモチベーションの炎が、
スッと音を立てて消えていくのが分かりました。
倒すべき相手、見返すべき相手が、こんな形でいなくなってしまった(笑)
長男も、そしてそれを応援していた私たちも、
前所属チームとの対戦が、なんだかもう、どうでも良くなってしまったのです。

この問題から分かる事は?~本質的な答えを考えてみる~
切り替えの早い長男に対しては頼もしい限りですが、
この一連の出来事を通じて、子供のサッカーと大人の関わり方について、考えさせられました。
そして、「この問題から分かる事とは何か?」という問いに対して、私なりに見つけた答えがあります。
それは、子供のサッカーは、決して「大人の自己実現の道具」であってはならない、ということです。
私たち親は、つい我が子の活躍に自分の夢を重ねてしまいがちです。
「親の自己実現が入らないように」と、どんなに気をつけているつもりでも、心のどこかで期待してしまったりする。それは、ある意味で自然な親心かもしれませんが、子供に余計なプレッシャーを与えてしまうリスクがあります。
しかし、指導者の中にも、残念ながら、子供たちの成長ではなく、自身の勝利への渇望や、支配欲、自己満足のためにチームを私物化してしまう方が、ごく稀にですが存在します。
今回の元コーチは、まさにその典型だったのかもしれません。
とにかく…
この経験は、長男のサッカーへの原動力を変えました。
以前は「あのコーチを見返したい」というリベンジの気持ちがありましたが、
それは他人に自分のモチベーションを委ねているのと同じ。
「もうどうでもいい…」と気持ちを切り替えた長男は、
これ以降、もっと純粋な目標に向かってサッカーを楽しむようになりました。
これらは、誰にも揺るがされることのない、自分の中から湧き出る大切な目標です。
元コーチの不祥事は、確かに辛い経験でしたが、
それは私たち親子に「サッカーの本当の目的は何なのか?」を問いかける、
大きな、そして痛みを伴う教訓になりました。
まとめ
リベンジという大きな目標を失った長男でしたが、
彼はその後、自分自身のプレーと静かに向き合う時間を持つことができました。
そして、「誰かのため」ではなく、「自分自身が楽しむため、上手くなるため」という、もっと純粋で、もっと強いモチベーションを、自ら見つけ出していったように思います。
子供のサッカーを取り巻く環境は、本当に様々です。
そして、私たち大人は、その環境を良くも悪くも変えてしまう、大きな力を持っています。
親として、指導者として、その責任の重さを、常に心に留めておきたいものですね。

当たり前ですが、子供たちのサッカーという素晴らしい物語の、主役は子供たちです。
その物語が最高のハッピーエンドを迎えられるように、愛情と敬意を持って支える、
最高の「脇役」でありたい。
私は、心からそう願っています。
次回へ続く!
