小学生サッカー育成ガチ編【第11話】:ハイボールが”武器”に変わる!「入れ替わる」発想と伝え方
こんにちは!
少年サッカーの試合で、こんな光景、よく見かけませんか?
キーパーやディフェンダーが大きく蹴り上げたボールが、フワリと中盤へ。
その落下点に向かって、何人かの子がワーッと集まるんだけど、みんなボールを見上げるだけで、なぜか誰も触りに行かない…。
「あぁ…うちの子も、ハイボールが来るといつも固まっちゃうんだよなぁ」
「ボールが頭の上を越えていって、いつも後手に回っちゃうんだ…」
そんな風に、我が子の姿と重ね合わせ、ちょっぴりもどかしい気持ちで見守っている親御さんも、きっと少なくないのではないでしょうか。
この記事では、小学生がなぜハイボールを苦手とするのか、その原因から、具体的な解決策、そして何よりも大切だと私が考える「子供の可能性を引き出す伝え方」について、我が家の息子との実体験も交えながらお話ししていきたいと思います。
特に、今日ご紹介する「入れ替わる」という発想と、「選択肢を提示する」という言葉がけは、皆さんの親子サッカーを、もっと豊かなものにしてくれるはずです。
それではどうぞ!

なぜハイボールは怖い?苦手?その原因、お子さんのせいじゃありませんよ!

まず、一番最初にお伝えしたいこと。それは、小学生がハイボールを苦手なのは、決してその子のせいではない、ごく自然なことだということです。
「なんでちゃんと落下点に入れないんだ!」
「またボール見てない!」
なんて、つい熱くなって言いたくなる気持ちも、よーく分かります。
でも、そこには子供たちの発達段階における、ちゃんとした理由があるんです。
まずは、「苦手なのは当たり前なんだ」と、私たち大人が理解してあげることが、克服への大切な第一歩になるのではないかと思います。
ついやってしまう…「とりあえず足出しちゃう病」のメカニズム
ハイボールが苦手な子によく見られる、具体的な失敗例があります。
それは、ハイボールの後の”バウンドするボール”の予測。
落下地点を予測できずに焦ってしまい、「とりあえず足を出しちゃう」というプレー。
我が家の息子も、まさにこの「とりあえず足出しちゃう病」にかかっていました(笑)。
- ボールが頭上を越えていく!
- 「ヤバい!追いつかなきゃ!」
- 焦って体を反転させながら、無理な体勢で足を伸ばす
- ボールの先にちょこんと触るだけ
- ボールは相手の方へコロコロ…
- 「あーっ!」
この一連の流れ、見覚えありませんか?
これは、子供が「何とかしてボールに触らなきゃ!」と必死になっている証拠。
でも、焦りから生まれるこのプレーでは、ボールを自分のものにすることはできません。
大切なのは、「ボールに触る」ことではなく、「ボールを自分のコントロール下に置く」こと。この意識の転換こそが、次にご紹介する解決策の鍵となるのです。
劇的に変わる!ボクサカ流「ハイボール攻略・3つの選択肢」
ハイボールが苦手だった我が家の息子が、自信を持ってボールを扱えるようになった、
とっておきのテクニックを3つの「選択肢」としてご紹介します。
選択肢①【基本】:まずは王道!「落下地点に入る」

これはもう、基本中の基本ですね。
落下地点をしっかりと予測し、ボールが落ちてくる前にその場所へ移動して、余裕を持ってボールを処理する。
これが理想の形です。
とはいえ、実際の試合では相手がいて、思い通りの展開になるとは限りません。
常に余裕を持って動けるとは限らず、状況に応じた柔軟な対応も求められます。
そこで、次に紹介する「選択肢②」ご注目!
選択肢②【応用】:ピンチをチャンスに変える「入れ替わる」という逆転の発想!

試合中、いつも完璧に落下地点に入れるとは限りませんよね。
相手と競り合っていたり、ボールが予想以上に伸びてきたり…。
「ああ、頭を越されちゃう!相手DFもすぐ後ろにいるのにどうしよう」
そんな絶体絶命のピンチの時にこそ輝くのが、
この「入れ替わる」というテクニックです。
「入れ替わる」ってどういうこと?
無理にボールに触ろうとせず、あえてボールをスルー(行かせて)しまうんです。
ハイボールが頭上を越えると判断した瞬間、
腰を落として重心を下げ、両手を軽く後ろに添えて、背後のディフェンダーを背中で抑え込みます。
相手との接触をコントロールしながらポジションをキープするのがポイントです。
そして、ボールが自分の背後に落ちるタイミングに合わせて、相手の体を軸にするように素早く回り込み、反転する。
この一連の動きが「入れ替わる」です。
どんな良いことがあるの?
- 安全確保!: 無理な体勢で競り合わないので、怪我のリスクが減ります。
- ボールキープ!:先に相手を抑え込むことで生まれた余裕を活かし、相手より先にボールとゴールの間に体を入れます。すると、相手はファウルなしにはボールに触れられなくなります。これこそが「シールディング」体を使ってボールを守る技術です!
- 大チャンス到来!: 相手を背中でブロックしながら、マイボールとして、しかも前を向いた状態でプレーを再開できるんです!まさに、ピンチが一瞬でビッグチャンスに変わる魔法のプレー!
この「入れ替わる」という発想は、まさに逆転の発想。
「ボールに触りに行く」のではなく、「ボールと相手の間に自分が入る」という意識。
この意識を持つだけで、子供たちのプレーは劇的に変わります。

選択肢③【足出しちゃう病の改善】:焦らない勇気!究極は「足元で」処理する
続いて、ハイボール後の”バウンドするボール”に対して「とりあえず足出しちゃう病」の改善方法。
ウチの長男の場合でいうと、タッチライン際なんかで特に起こりうる現象でした。
すぐに落下地点に入れそうにないと、焦ってしまい無理に足を伸ばしてボールに触りにいってしまう…
そこで、私が長男に伝えたかったのが
「焦って触らない、自分の足元でボールをコントロールできるまで待とうよホトトギス」

という意識ですw
「ボールに触る」意識から「ボールをコントロールする」意識へ。
この小さな意識改革が、「とりあえず足出しちゃう病」の最高の処方箋になるはずです。
これも、本人に意識してもらうだけで改善できました。

この前の試合のタッチライン際みたいな場面、
足を伸ばして触りに行かなきゃいけない時もあるけど、
落ち着いてボールが落ちてくるのを待ってから触ったほうが、
自然な体制で足元にちゃんと入って、得意なドリブルにつなげられることもあると思うよ。
色んな選択肢があるから、思い出したら、ちょっと試してみて。
自分なりのやり方でいいから。

うん!
こんな感じであっという間に改善できました。
あ、上で紹介した私の子供への伝え方について、もしかしたらこんな事を思った方、いるかもしれませんね。
「ボクサカ、ずいぶん回りくどい言い方するなぁ」
「こっちの方がいいよでいいじゃん」
そんなことを思った方に、何故私がこんな伝え方したのかを次にご紹介します。
成功の鍵は「伝え方」にあり!選択肢の提示
ここまで具体的なテクニックをご紹介してきましたが、
実は、これを長男がすぐに実践できるようになったのには、もう一つ、もっと大切な「秘密」があったんです。
それは、私の「伝え方」を少しだけ変えたことでした。
きっかけは以前、チームメイトのお父さん方が、試合中につい熱くなって
「こうしろ!」
「落下地点に入れ!」
と命令口調で声をかけているのを見て、ふと思ったことがあります。

それって、子どもが「言われたからやる」だけになっていて、自分で考えて動くことができなくなってしまってるのでは…と。
それに、試合中全く同じシュチュエーションなんて滅多にこないはず…(自分や相手の立ち位置、自陣なのか敵陣なのか等)
そこで、私は「選択肢の一つ」として子供に提示してみる
という実験をしてみたのであります。実験実験♪╰(*°▽°*)╯

- なぜ「選択肢の提示」が効果的なのか?
- 自分で考える力がつく: どのプレーを選ぶべきか、子供が自分で状況を判断するクセがつきます(主体性・自己判断力)。
- プレーの引き出しが増える: 一つの方法だけでなく、複数の解決策を知ることで、プレーの幅が広がります。
- 失敗を恐れなくなる: 「こうしろ」と命令されたプレーの失敗は怖いですが、「自分で選んだ」プレーの失敗は、次への学びになります。「よし、次は別の選択肢を試してみよう!」と前向きになれるんです(心理的安全性)。
例えば、
「ハイボールに対して、落下地点に入れれば良いけど、入れない時もある。そういう時にこういう選択肢もあるよ?(上で紹介した例を提示してみる)。色々試して自分なりの正解を見つけてごらん」といった感じ。

失敗を恐れずに挑戦できる「安心できる環境」をつくってあげられたこと、そして「命令」ではなく「提案」という形で伝えたこと。
それが、息子にとってハイボールへの苦手意識を克服し、自信を持ってプレーできるようになった…
その一つの要因になれたのではないかと、私は信じています。

自分で得た成功体験は印象に残りやすいから、身につくスピードも全然違います!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
かつてはハイボールが来るたびに固まっていた長男が、自信を持ってボールを処理し、時には華麗に「入れ替わって」相手を置き去りにし、それを自分の「武器」にさえしていました。
サッカーのハイボール処理ひとつ取っても、ただ「こうしろ」と命令するより、「こういう選択肢もあるよ」と伝えるほうが、子ども自身が状況を考えて動くようになりました。
自分で選んで成功した経験は、単なる指示よりもずっと強く印象に残ります。
だからこそ、“選択肢を与える”という関わり方のほうが、学びとしても効率的で、子どもの判断力や主体性を育てるうえで”本質的”なんだと思います。

実験は大成功!ちょうどゴールデンエイジの時期とも重なって、一気に成長してくれました。